コラム vol.01

がん治療とお金の不安

― 一人で抱え込まないために ―

こんなお悩みありませんか?

  • 治療費がどれくらいかかるか不安
  • 仕事を続けられるか心配
  • 家族に負担をかけたくない
  • 使える制度がよく分からない
  • 誰に相談すればいいか分からない

がん治療、実際いくらかかる?

がんの治療費は、がんの種類・ステージ・治療法によって大きく異なります。ここでは、公的医療保険が適用される場合の自己負担額(3割負担)の目安をご紹介します。

治療法別・自己負担の目安

治療法自己負担の目安(3割)
手術(入院10日前後)約 20〜50万円
抗がん剤治療(1コース)約 10〜30万円/月
放射線治療(一連)約 20〜40万円
免疫チェックポイント阻害薬約 30〜50万円/月

※ 高額療養費制度の適用前の金額です。制度を利用することで実際の月額負担は大幅に軽減されます(年収約370〜770万円の方で月額約8〜9万円が上限の目安)。

見えにくい「治療以外」の出費

治療費そのものに加えて、多くの方が想定外の出費に直面します。こうした費用は高額療養費制度の対象外になることが多く、家計への影響は少なくありません。

通院の交通費 駐車場代 補正具・日用品 食事・栄養補助 家族の預け先 休職による収入減 ローン・保険の見直し

こんなとき、どうする?

がん相談支援センターには、さまざまな不安を抱えた方が相談に来られます。以下は、よくあるご相談をもとに構成した例です。

胃がんと診断されて頭が真っ白に。手術と術後の抗がん剤治療が必要と言われたが、治療費がどれくらいかかるのか見当もつかない。子どもの学費もあるのに、仕事を休んでやっていけるのだろうか。

40代・女性のケース
会社員・お子さん2人

▶ 相談でできること

高額療養費制度の限度額適用認定証の取得方法をご案内し、窓口負担を軽減。傷病手当金の申請手順を整理することで、休職中の収入面の見通しを立てるお手伝いができます。

自営業で飲食店を経営しているが、大腸がんの手術後に抗がん剤治療が必要に。店を休むと収入がゼロになる。国民健康保険には傷病手当金がないと知り、途方に暮れている。

50代・男性のケース
自営業

▶ 相談でできること

障害年金の申請要件を確認し、該当する場合は手続きを支援。自治体独自の生活支援制度についても情報を整理し、治療に専念できる環境づくりをお手伝いします。

退職後に食道がんが見つかり、抗がん剤と放射線の治療が始まった。貯金を切り崩す日々が続き、家族には心配をかけたくないが、一人で家計のやりくりを考えるのが辛い。

60代・男性のケース
退職後

▶ 相談でできること

医療費控除の確定申告をご案内し、年間の税負担を軽減。介護保険サービスの利用も含めて、家計全体の見通しを一緒に整理します。

制度はあっても、
たどり着けない現実

制度が多すぎて選べない

高額療養費、限度額適用認定証、傷病手当金、障害年金、医療費控除、介護保険——。がんに関連する公的制度は数十種類にのぼります。

しかし、それぞれ管轄する窓口が異なり、申請のタイミングや条件も複雑です。「使えるはずの制度を知らなかった」という方は決して少なくありません。

状況は一人ひとり違う

年齢、雇用形態、家族構成、住宅ローンの有無、加入している保険——。同じがんでも、お金の問題は人によって全く異なります。

インターネットの情報だけでは、自分の状況に当てはまるかどうかの判断が難しいのが現実です。だからこそ、個別の状況を一緒に整理してくれる専門家の存在が大切です。

がん相談支援センターを
ご存知ですか?

がん診療連携拠点病院には「がん相談支援センター」が設置されています。予約不要で、どなたでもご相談いただけます。

福祉相談員が対応し、医療費や社会保障制度、療養先の選択、生活全般の不安について一緒に考えます。当院の患者さん以外の方もご利用いただけます。

病気や治療、症状に関する医学的なご質問については、主治医や外来看護師にご相談ください。相談支援センターでは、福祉相談員による生活面・制度面のサポートを中心に対応しています。

よくある相談内容

相談支援センターには、特に以下のようなご相談が多く寄せられています。

医療費に関すること

治療費の見通し、高額療養費制度の手続き、医療費控除など、費用に関する疑問や不安を整理します。

社会保障制度に関すること

傷病手当金、障害年金、介護保険など、ご自身の状況に合った制度を一緒に確認し、申請の手順をご案内します。

療養先に関すること

在宅医療の体制づくりや、緩和ケア病棟への転院など、今後の療養先についてのご相談に対応します。

仕事と治療の両立

休職・復職の進め方、職場への伝え方、利用できる就労支援について一緒に考えます。

相談前に準備しておくと
スムーズなこと

事前にすべてを整理する必要はありません。以下を参考に、分かる範囲で準備いただけると、相談がよりスムーズに進みます。

1

相談したいことを考えておく

「医療費のこと」「仕事のこと」など、大まかなテーマだけでもかまいません。メモに書き出しておくと安心です。

2

現在の治療状況・今後の見通し

いま受けている治療や、主治医から聞いている今後の治療計画が分かると、より具体的なご案内ができます。

3

困っていることの整理

「一番困っていること」「今すぐ知りたいこと」など、優先順位をつけておくと、限られた時間を有効に使えます。

対面以外でも相談できます

電話やメールでのご相談も受け付けています。ただし、対面に比べると情報の伝わりにくさなどの限界がある場合もあります。

内容によっては、改めて対面でのご相談をご案内させていただくこともあります。

事前に知っておいて
いただきたいこと

必要に応じて専門機関へおつなぎします

がん相談支援センターは、すべてを一ヶ所で解決する場所ではありません。ご相談の内容に応じて、院内の他部門や院外の関係機関と連携し、適切な窓口へおつなぎします。

「どこに相談していいか分からない」という方こそ、最初の窓口としてご利用ください。

医学的な相談は主治医・看護師へ

相談支援センターでは、福祉相談員が生活面・制度面のサポートを行います。病気そのものや治療内容、症状に関するご質問は、主治医や外来看護師にご相談ください。

一緒に状況を整理し、
解決策を考える場所です

相談窓口はこちら

予約不要・どなたでもご利用いただけます

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文責
腫瘍内科 川村 佳史
協力
東北医科薬科大学病院
がん相談支援センター