VOL.02 がん遺伝子パネル検査について
BEFORE THE TEST

がん遺伝子パネル検査
を受ける前に

「自分のがんに合った治療を見つけたい」——
がん遺伝子パネル検査は、その可能性を探るための検査です。
ただし、検査を受ける前に知っておきたいことがいくつかあります。
診察前にこのページを読んでおくと、説明がよりスムーズに理解できます。

このページの使い方
検査を検討中の方の事前学習用にまとめています。来院前、または待合室でお読みください。動画と合わせて、基本的な内容をあらかじめ把握しておくと、診察時の説明がより理解しやすくなります。

そもそも、どんな検査?

がん遺伝子パネル検査は、がん組織や血液から100種類以上の遺伝子をまとめて調べる検査です。がんの原因となっている遺伝子の変化を見つけることで、その変化に合った治療薬の候補が見つかる可能性があります。

調べるのは「がんの遺伝子」

手術や生検で採取した がん組織のDNA を解析します。生まれ持った体質を調べる検査ではなく、がん細胞だけに起きている遺伝子の変化を見るのが基本です(一部、血液で調べる方法もあります)。

わかること

がんの増殖に関わる遺伝子の変化を見つけ、その変化に効く可能性のある薬があるかを探します。場合によっては、保険診療や治験で使える薬の候補が示されます。

わからないこと・限界

遺伝子の変化が見つかっても、必ず治療に結びつくとは限りません。実際に治療薬の候補が見つかる方は、検査を受けた方の およそ10〜20%程度 と報告されています。

通常の遺伝子検査との違い

これまでも特定の遺伝子を1つずつ調べる検査(コンパニオン診断など)は行われてきました。パネル検査は調べる範囲が大きく異なります。

これまでの検査
単一遺伝子検査
特定の薬を使うかどうかを判断するため、1つまたは数個の遺伝子をピンポイントで調べます。
パネル検査
100以上の遺伝子をまとめて
100〜数百種類の遺伝子を一度に解析。標準治療終了後でも使える薬の候補がないか、幅広く探します。

検査から結果説明までの流れ

検査を申し込んでから結果が出るまでには、おおむね 1〜2か月程度 かかります。複数の専門家による検討(エキスパートパネル)を経て、結果が説明されます。

1
医師との相談・同意
来院時

検査の目的、わかること・わからないこと、費用、二次的所見について説明を受け、同意書にサインします。

2
検体の提出
数日〜

すでに手術や生検で採取した がん組織 を使うことが多いですが、必要に応じて新たな採取や採血を行います。

3
解析
約4〜6週間

検査会社で、100以上の遺伝子の変化を解析します。

4
エキスパートパネル
結果到着後

腫瘍内科、病理、遺伝の専門家などが集まり、結果を医学的に検討して 治療方針の候補 をまとめます。

5
結果の説明
来院時

検討された内容を主治医から説明し、今後の治療について一緒に考えます。

動画で学ぶ(C-CAT公式)

国立がん研究センター がんゲノム情報管理センター(C-CAT)が制作した公式解説動画です。検査の仕組みや結果の見方を、専門家がわかりやすく解説しています。

出典: 国立がん研究センター がんゲノム情報管理センター(C-CAT)
全4部構成。プレイヤー右上のリストアイコンから各動画を切り替えてご覧いただけます。
▶ 再生できない場合はYouTubeで開く

待合室でご覧いただく場合は、イヤホンのご使用をおすすめします。動画は通信量がかかりますので、Wi-Fi環境の利用もご検討ください。

受ける前に知っておきたい3つのこと

検査を受けるかどうか判断するうえで、特に重要なポイントです。

1

治療に結びつかない可能性もある

検査で遺伝子の変化が見つかっても、それに対応する薬がまだ存在しなかったり、保険診療では使えなかったりすることがあります。治療薬の候補が見つかる方は10〜20%程度と覚えておいてください。

2

保険適用には条件がある

保険診療で受けるためには、標準治療が終了している(または終了見込み) など、いくつかの条件があります。検査が適応となるかは、主治医が判断します。

3

結果が出るまでに時間がかかる

検体提出から結果説明まで、おおむね2か月が目安です。

二次的所見について

パネル検査では、がん細胞の遺伝子変化を調べる過程で、生まれつき持っている遺伝子の変化(生殖細胞系列バリアント) が偶然見つかることがあります。これを「二次的所見」と呼びます。

二次的所見は、ご本人だけでなく 血縁者の発がんリスク にも関わる可能性があるため、見つかった場合は遺伝カウンセリングをお勧めしています。検査前に、結果の開示を希望するかどうかをご本人に確認します。

費用のめやす

保険適用の条件を満たす場合、検査は保険診療で受けられます。一見高額に見えますが、高額療養費制度を利用することで、実際の自己負担額は大きく抑えられます。

項目 金額のめやす
検査費用(総額) 約56万円
3割負担の場合 約16.8万円
1割負担の場合 約5.6万円

※ 検査前後の診察・採血等の費用は別途かかります。

高額療養費制度で
自己負担はさらに軽くなります

ひと月あたりの医療費の自己負担額には 上限 が設けられており、それを超えた分は払い戻されます。年齢や所得によって上限は異なりますが、以下が目安です。

所得区分(70歳未満) ひと月の自己負担上限
年収 約370〜770万円 約8〜9万円
年収 約370万円以下 約5.8万円
住民税非課税 3.5万円

※ パネル検査を受けた月は、上記の上限を超えた分が払い戻される(または事前申請で窓口負担が上限額までで済む)ため、16.8万円の3割負担の方でも、実際の自己負担は8〜9万円程度に収まるのが一般的です。
※ 70歳以上の方や、所得区分によって金額は変わります。詳細は加入されている健康保険組合・市町村窓口、または病院の 医事課 にお問い合わせください。
※ 費用全般については「コラム vol.01 がん治療とお金の不安」もご参照ください。

来院前にできること

診察時間を有効に使うために、来院前に以下のことを整理しておくと役立ちます。

質問したいことをメモしておく(費用、期間、結果がわかったらどうなるか、など)

家族のがんの既往歴を整理しておく
どこまで?
・ご本人から見て 三親等以内 の血縁者(ご両親・きょうだい・お子さま・祖父母・おじおば・甥姪・孫)
・お一人ごとに「がんの種類」「発症年齢」「ご存命か(亡くなった場合は年齢と死因)」がわかると理想的です
・覚えている範囲で構いません。わからない部分は「不明」で大丈夫です

重要な説明は ご家族と一緒に 聞かれることをおすすめします

動画(上記)を一度ご覧いただくと、診察時の説明がよりスムーズに理解できます

MESSAGE

検査を受けるかどうかは、
ご自身とご家族で
じっくり考えてください。

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文責
腫瘍内科 川村 佳史