― ご家族に知っておいてほしいこと ―
CHECK
MESSAGE
がん治療では、治療を重ねるにつれて、抗がん剤で得られる効果が限られてくる一方で、副作用や通院、入院の負担が大きくなることがあります。特に体力が落ちている時期には、抗がん剤を続けることが、かえって生活の質を下げてしまう場合もあります。12
医療者が抗がん剤の終了を提案するとき、それは患者さんを見放すためではありません。痛みや息苦しさ、不安を和らげ、できるだけ穏やかに過ごせる時間を支えるために、治療の目標を見直す提案です。3
CARE
抗がん剤を終了しても、できる医療は多くあります。痛み、息苦しさ、食欲低下、だるさ、不眠、不安への対応、在宅医療の調整、家族への支援などは、すべて大切な医療です。
痛みや息苦しさ、吐き気、食欲低下、不眠などに対して、薬剤調整やケアの工夫を行います。
自宅、病院、緩和ケア病棟など、本人と家族が安心して過ごせる場所を一緒に考えます。
介護の負担、仕事との両立、医療費や制度の相談など、ご家族が一人で抱え込まないための支援があります。
何を大切にしたいか、どのように過ごしたいかを、本人・家族・医療者で少しずつ共有します。
SDM
がん治療の方針は、医学的な見通しだけでなく、患者さんが何を大切にしているかによっても変わります。医師は情報を説明し、患者さんやご家族は希望や不安を伝え、その両方をすり合わせながら方針を決めていきます。34
「これからの時間で、いちばん大切にしたいことは何ですか」
「できるだけ避けたいことはありますか」
「家で過ごしたい、入院のほうが安心など、今の気持ちはありますか」
▶ すぐに答えが出なくても大丈夫です
本人の気持ちは変わることがあります。何度も話し合い直してよい、という前提で進めることが大切です。5ACP
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)は、将来の医療や療養について、本人の価値観や希望を、家族や医療者と共有していくプロセスです。延命治療をするかしないかだけを決めるものではありません。6
何を大切にしたいか
家族との時間、仕事、食事、家で過ごすことなど、本人らしさにつながる希望を確認します。
誰に相談してほしいか
本人が十分に話せなくなったとき、誰が代わりに気持ちを伝えるかを共有します。
必要に応じて見直す
病状や気持ちは変化します。一度決めたことも、何度でも話し合い直して構いません。
緩和ケアは、終末期だけの医療ではありません。がん治療と並行して、症状や不安を和らげ、生活を支えるために利用できます。転移性肺がん患者を対象とした研究では、早期から緩和ケアを取り入れることで、生活の質や気分の落ち込みが改善し、終末期の過剰な治療を減らす可能性が示されています。7
「緩和ケアを紹介された」ことは、治療を見放されたという意味ではありません。患者さんとご家族が、より安心して過ごすための支援を増やすという意味です。
SUPPORT
抗がん剤をやめるかどうかの話し合いは、ご家族にとっても大きな負担です。主治医、看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、がん相談支援センター、緩和ケアチームに相談してください。
医師・看護師
病状、治療の見通し、症状緩和について相談できます。
がん相談支援センター
療養場所、介護、仕事、費用、制度など生活面の不安を整理できます。
在宅医療・緩和ケア
自宅で過ごすための医療体制や、症状への対応を支えます。
ご家族自身の支援
介護する側の不安や疲れも、相談してよい大切なテーマです。
SUMMARY
抗がん剤をやめるという話は、希望を失う話ではありません。これからの時間を、患者さんにとってよりよいものにするために、治療の目標を見直す話です。
「もう治療がない」ではなく、「これから何を大切にするか」。その視点で、患者さん、ご家族、医療者が一緒に考えていくことが大切です。
REFERENCES