同じではありません。「免疫療法」という言葉は幅広く使われていて、その中身は大きく異なります。国立がん研究センターの解説では、効果や安全性が十分に確認されているものと、まだ確認途中のものを区別して考えることがすすめられています[1][22]。ここでは3つに分けて整理します。
A
標準治療として位置づけられているもの
比較試験などで効果と安全性が確かめられ、国内で薬事承認され、保険診療で受けられるものです。免疫チェックポイント阻害薬がこれにあたります[1]。ただし、薬ごとに対象となるがんの種類や条件が決められており、どのがんにも使えるわけではありません。
国内で承認されているCAR-T細胞療法は、主に白血病・リンパ腫・多発性骨髄腫などの血液がんが対象です。本コラムで扱っている固形がんの標準治療とは別の治療であり、血液がんで確立している治療が、そのまま固形がんにも当てはまるわけではありません。
B
臨床試験・治験で評価中のもの
効果や安全性を確かめるために、計画に沿って行われている研究段階の医療です[1][22]。参加には条件があり、試験の内容や参加者の募集状況は公開されています。担当医に、対象となる試験があるかどうか相談できます。
樹状細胞、NK細胞、TIL(腫瘍浸潤リンパ球)などを用いた治療は、がんの種類ごとに開発の段階が異なります。研究として行われているのか、すでに承認された治療なのかを、名称だけで判断することはできません。
C
効果を判断するための比較試験が十分でないもの
自由診療として提供されている免疫療法の多くは、標準治療と比べた試験の結果が公表されておらず、効果や安全性が確かめられた段階には至っていません[1][22]。費用は全額自己負担になります。
これは「効果がない」と決めつけるものでも、特定の施設を批判するものでもありません。ただ、判断の材料が少ない状態であることは、知っておいていただきたい点です。検討する場合は、必ず担当医にもお話しください[1]。
「免疫療法」という言葉だけで判断せず、8つの確認ポイントを見てみましょう
保険診療か自由診療かという分け方だけで、治療の良し悪しが決まるわけではありません。治療を検討するときは、どのがんを対象にしているのか、どのような効果と副作用が報告されているのか、緊急時にどこで対応してもらえるのかを確認することが大切です。
- 日本で薬事承認されている治療ですか(承認されていない場合、それはどの段階の治療ですか)
- 自分のがんの種類・組織のタイプ・病期が、その治療の対象に含まれていますか
- 標準治療と比べた試験がありますか。ない場合、何をもとに効果を判断していますか
- 治療成績が、査読を受けた論文として公開されていますか
- 臨床試験であれば、登録情報(対象、方法、実施施設)が公開されていますか
- 費用の総額と、追加でかかりうる費用が、書面で説明されていますか
- 副作用が起きたときや緊急時に、誰がどこで対応する体制になっていますか
- その治療を受けることで、標準治療を受ける機会や時期を失うことはありませんか
迷ったときは、まず担当医に相談してください。担当医に直接言いにくい場合は、診療に関わる看護師や薬剤師を通じて相談したり、別の医療機関でセカンドオピニオンを受けたりする方法があります。